コラム [ 校正四方山話 ]


<四方山話 語源アレコレ>

語源についてのアレコレです。
といっても小難しい話ではないので、気軽にご笑覧ください。
語源というのは説明するまでもなく、定義は「語の起源」ですね。
そして原則的には、あらゆる言葉すべてに語源があります。
ではここで、雑学的なものをいくつかご紹介してみます。

その1「成金」

 本来は将棋用語で、「歩」が敵陣に乗り込んで「金」に成ることから、にわかに金持ちになった人を成金と称したのです。大正時代に景気の波に乗って大儲けしたにわか富豪を、こんな風に呼んだのが始まりのようです。今でいえばさしずめIT成金、軽蔑と嘲笑と少々の妬みのニュアンスを含んだ言葉です。

その2「山師」

 この言葉、残念ながら良いイメージがありません。というよりも、いかにも胡散臭い感じがします。本来山師というのは、山に埋もれた鉱脈を探して歩く鉱山技師を称していました。転じて一攫千金を夢見て投機的なことをする人、さらには善良な人を騙す詐欺師へと本義が変容しました。余談ですが、奈良時代以前から多くの渡来人たちが山師として日本の全国各地を巡っていました。例えば、銅が日本で初めて発見されたのは埼玉県の秩父。西暦708年、その功績を讃えて、時の天皇が「和銅」という元号に改元するほどの一大発見でした。この発見も、いわゆる山師の存在なくしてはありえないことでした。

その3「独壇場」

 本来は独擅場(どくせんじょう)と書かれていたのに、いつからか独壇場(どくだんじょう)に座を譲りました。で、独擅場の意味はというと、一人舞台です。擅というのは「ほしいままにする」というような意味ですが、ではいつから「擅」が「壇」に代わり、独壇場になったのかというと、たぶん真実は藪の中です。字体が似ているというだけで軒を貸したら母屋を取られた、みたいなものでしょうか。ちょっと違いますけど。これなどは、いつのまにやら誤った読み方と書き方が定着・慣用化し、大手を振って罷り通っている典型です。それではさらに、語源についていくつかの「へー」をご紹介しましょう。

その4 「けんもほろろ」

 「けん」も「ほろろ」も、ともにキジの鳴き声、擬声語だそうです。キジの鳴き声の 「けんけんほろほろ」 が不愛想に聞こえることから、人の頼みなどを冷酷に断わるさま・とりつくしまもないさまを、そう呼ぶようになりました。ところで、みなさんは桃太郎の童話でもおなじみの日本の国鳥、キジの鳴き声って聞いたことがありますか?

その5 「紳士」

 冠位十二階といえば聖徳太子。冠位十二階は身分の階級を示していますが、その階級の認識は一目見てわかるように違った色の冠を用いたそうです。そして、役人達は礼服の腰の部分に「紳」という名の大帯を締めていたことから、「紳士」と呼ばれるようになったとか。この「紳」の大帯を締めた人々が比較的社会的地位があり、高潔な人々であったことから「紳士」と呼ばれるようになったそうです。いやはやお役人が紳士だなんて、昨今の風潮では到底考えられませんけど。

その6 「無茶苦茶」

 「無茶」とは客にお茶を出さないことで、「苦茶」は苦いお茶を出すこと。ようするに、客が来てもお茶を出さないし、仮に出したとしても苦いお茶を出すというヒドイ待遇のことです。それが転じて、一般的にデタラメなことやそうした態度を意味するようになったそうです。そういえば最近、とんとおいしいお茶を飲んでいません。不景気のあおりで取引先も「無茶」ばかり。まあ茶葉のせいというよりは、肝心の水がまずいわけですから。

その7 「日本」

 日本をさす言葉に「大八州(おおやしま)」「豊葦原瑞穂国(とよあしはらのみずほくに)」「葦原中国(あしはらなかくに)」「大和(やまと)」などがあり、中国では「倭(わ)」と呼ばれていたりしました。それが奈良時代の701年に制定された大宝律令によって「日本」と定められましたが、その時はまだ「日本」と書いて「やまと」とか「ひのもと」と呼ばれていたそうです。やがて時代が進むと漢字の知識が浸透し、訓ではなく音読みが広まり「にほむ」に変化。これが室町時代になると「にほん」「にっぽん」になったといわれています。ちなみに、にほんとにっぽん、どちらが正式な読み方か定まっていません。

 さてみなさん、こうした語源解説は正しいと思いますか。そうです。実はとんでもないデタラメ、嘘八百かもしれませんよね。つまり語源の「正しさ」というものは、所詮は蓋然性や文献的考察に依拠しているということなのです。

 校正者とは、書かれたことを鵜呑みにせず、疑ってかかることから始まります。真偽が不安になったあなた、どうか試しにご自分で調べてみてください。

 今日はこの場を借りて我が社の仕事に対する心構え、気構え、面構え?についてちょっとだけ宣伝してみました。

 というわけで、ここでひとつ語源についての楽しいお題です。興味のある方は「地球」という字句の語源を調べてみましょう。
 おそらくは、数ある語源辞典にも未掲載のはずです。